令和元年第二回定例会 総務委員会における付帯意見審議についての所感

 令和元年第2回定例会において、「平和の森公園再整備工事請負契約に係る契約金額の変更について(第62号議案)」(以下、本議案という)が本会議より総務委員会に付託(審議の要請)をされた。
 これは、「設計変更及び労務単価の上昇に伴い、工事請負契約約款第18条及び第24条に基づき、契約金額を変更する必要がある。また、工事中止期間中の現場維持費を要するため、契約金額を変更する必要がある(変更する理由より)」ものであり、議案自体は極めてシンプルな議案である。
 この議案に先だって、本定例会初日には契約金額変更に伴う支出の補正予算が付帯意見(議案としての補正予算について議会の希望を付けること) もないまま可決成立した。
 そして、本議案も総務委員会において、 賛成多数で可決成立をした。
 ここで一旦休憩になり、ある会派 から本議案に付帯意見を付けたいという申出がされた。
 付帯意見(以下、付帯意見1という の内容は以下のとおり。
 「平和の森公園再整備にあたっては、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会における新体育館の活用に支障を来さないよう努めるとともに、300メートルトラック及び100メートルコースの設置、草地広場の築山を活かしたすべり台の設置については見直しをされたい。」

 本議案に付帯意見1を付するかどうかが論点になり各会派が議論をした。
 なお、中野区議会議会運営員会平成9年3月25日付確認事項として 、付帯意見の取扱いにおいて、「(1)委員会で議案を可決すべきものとした際に付す希望は、すべて「付帯意見」として表示することが出来る 。」 というものがある。
 この規定により、従来は 議案の内容に関わるものについての希望を付すものであるという運用が区議会ではなされてきた。
 ただ、今回の付帯意見1は、議案の内容ではなく契約内容と工事計画について現在進行中のものを更に一旦休止をして変更契約を求めるものであり、議案の付帯意見 として、確認事項(1)は適用されない 。
 こうした場合には、同確認事項(4)として、「付帯意見の範囲を超える強い要望で、執行の停止又は執行を促すような事項については、別途決議の方法により議会の意思を表し、執行機関にこれを求める(国、都等に対する議会の機関意思については、意見書とする)。」という規定があるので、こちらに該当するものと 私は 考えていた。
 したがって、「別途決議」を更に提案してくるものと期待をしていた。

 ところが、委員会休憩中に更に トイレ休憩を挟んだのちに提出された付帯意見案(以下、付帯意見2という)は、以下のように 変更された 。
 「平和の森公園再整備にあたっては、東京2020 オリンピック・パラリ ンピック競技大会における新体育館の活用に支障を来さないよう努めるとともに、草地広場の在り方について検討されたい。」

 この付帯意見では、当初の目的であるトラック建設中止を求めることは出来ず、体育館建設をオリンピック・パラリンピック競技大会に間に合わない可能性も含まれ、その結果に対してだれが責任を持つかも明確ではない。更に、提案者は、「草地広場のあり方」について問われた際に、トラック以外に残る草地広場のあり方について検討することで良いと回答していた。
 これでは、付帯意見を付するかどうか以前の問題に戻ることになる。
 工事契約金額変更の議案に、上記付帯意見1または付帯意見2を付することは、議会運営上、議案の内容を越えたものや議案と直接の関りの薄い付帯意見を付してしまうことになり、区議会始まって以来、前代未聞の事態となり、今後の議会運営のルールが形骸化され、どのような議案にも歯止めなく付帯意見を付すことが出来ることになってしまう上に、一定の秩序を保って運営されている議会がいたずらに混乱を来してしまうことになる。

 この時点で、私は付帯意見を本議案に付すべきではないと判断した。
 また、更に提案者は、この付帯意見が付くことにより区議会の意思が明確になり、区長が今後の事業者との交渉に区議会の意思として付帯意見を示し、協議を開くきっかけになるとも考えていたようだが、付帯意見2を事業者が見てどう思うだろうか。事業者は、契約上の義務として、工期終了までに工事を完成させて引き渡すのは当然であるため、「新体育館活用に支障を来さないよう努めるとともに」という文言を見れば、「こんなの当たり前である。」と考えるだろうし、「草地広場のあり方 について検討されたい。」という文言を見れば、「引き渡し後の運用のことですね。」と一蹴されておしまいである。

 このような付帯意見を区長に持たせて事業者と交渉をさせたならば、それこそ区の信頼に関わる問題になるだろう 。
 議会は、混乱をするのも常であるため、ルールを大幅に変えるための一石を投じるべきだとお考えの方もおられると思う。実際、提案者は、 「希望」を述べる 付帯意見のつけ方にはルールはないのだから、過激な意見で一石を投じてから現実路線に転換したという感じにも見受けられた。
 ただ、行政は、法律と条例の執行を誠実に行うこと、司法は、法運用の番人として法の適正な適用を、そして国会は、立法府として一定の定められたルールにのっとり、大胆な発想で立法作業を行う。これが法の支配の根本である。ならば、区議会も立法作用を持つものであるから一定の定められたルールに従うべきは当然である。
 以上のことから、私は、本議案に付帯意見を付することに反対した。
 厳正な議会運営を行うためにも、今後も議会のルールを越えようとする試みには、毅然とした姿勢を貫いていくつもりである。

令和元年7月13日
中野区議会議員
内野大三郎
以上


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